高校ラブストーリーはこれにて最終話。
もう思い出せない。
これが一番の思い出である、ストーリーを書きます。
そして前回のお話である
こちらから続くストーリーでもあります。
アンジェラが帰って
アンジェラは交換留学生でした。
そのため、こちらから交換留学生を出していた生徒が帰ってくることになります。
その生徒は自分よりも本来は学年が一つ上で、交換留学の関係で自分と同じ学年になります。
本来の学習期間を満了していないため、その当時の出発前までの学年に戻るということですね。
そのため、先輩たちにどんな生徒が戻ってくるのかを聞いてみることにしました。
- あの子ねぇ〜あの子は本当にいい子だよ!
- あの子はすごくいい子で誰にでも優しいよ!
- あの子は裏表がない。本当にいい子!
- 可愛い子だよ〜
なに、この神評価。誰に聞いても星5。すごいレビュー。
しかも、女の子とは…以下、その子のことをここでは“天使”と呼びます。
天使がやってきた
全校朝礼の際に英語担当の先生からの説明だ。
交換留学生の帰国説明があり、以前いたアンジェラに代わってこちらに帰ってきましたと説明。
また、知らない生徒がいると思うので“天使”に起立と命じた。
すると、起立する生徒が…天使は後ろにいたのだ。
天使は少しぽっちゃり体型。いや、体型とかの前に、物凄いオーラを感じた。
生きた目をしている。それも強い生命力に満ちた目だ。
顔全体、また立ち振る舞いもビシッとしている。
ここまでキラキラしたような人は見たことがない。
その時、見た目の好みとかそういう意味ではなく、一目惚れをしてしまったんだと今では思う。
天使を知りたい
朝礼を終えると、元々知っていた生徒から声を凄いかけられていた。
久しぶり! 元気してた? あっちではどうだった?
物凄い人気者だ。男性にも女性にも大人気。
幸い、天使とは同じクラスメイトになることができた。
天使について知りたい、もっと知りたい。そう思った。
委員会に入る
どの委員会に入るかを決める頃、天使は保険委員会を希望した。
俺はというと、こういうものに積極的ではなく、一番楽できるものをいつもなら選択をする。
けれど、一緒に仕事をすることによって天使のことをもっと知れるんでは無いかと思い、天使が保険委員会ならば俺も保険委員会に入ることにした。
先に保険委員会が埋まったので不思議な光景だったと今では思う。
そして、委員会の中で役割を決める際、天使は委員長を務めることを宣言した。
活発的な彼女らしい。
俺は元々楽がしたい人間だ、ましてや部活もあって委員会の役員に入るなんてもってのほかだ。部活の時間が削られる。
でも、天使をもっと知りたい。天使の側にいてみたいと俺は思った。
部活も大事だ、役員になったら部活内で何か一言二言言われるだろう。
けれど、それ以上に“今”しかできないことがしたい。
やらないで後悔はしたく無いと思い、俺も保険委員会の副委員長になった。
天使のことを少しずつ知る
天使は不思議なことに浮いた話は全く出てこない。
また、そんな話をする雰囲気にもならない。
なぜだろう、そのような空気にしてはいけないような気さえしてくる。
そんな不思議なところも天使の魅力であった。
学校内での天使は、愛のある学級委員長である。
正確には学級委員長は既に別でいたため、学級委員長ではなかったがクラス対抗合唱コンクールの際に指揮者を務めた。
すると、サボり始める生徒が出てくるのは当然で、もちろんサボる奴も出てきた。
だが、それは最初だけである。
きちんと注意をするが、しつこく無い、そしてどこか愛がある。
困らせてはならないと思ってしまう。
サボりに付き合っていた俺だが、サボってはいけない、迷惑をかけてはいけないと思った。
それは俺だけではなく、一緒にサボっていた友人ですら思っていたことである。
天使とのコンタクト
天使は北海道出身の寮生だった。
しかも、当時は携帯の持参は禁止だった。
今はわからないが、某動画コンテンツなどが人気の昨今では平気で持ち込んで持ち出したりもしているのだろう。
天使とのコンタクトが取れるのはあくまでも学校にいる間。
ましてや真面目な子なので授業中に話しかけるなんてもってのほか。
時間は本当に限られていた。
束縛に応じる素直さ
天使に気を取られている俺だったが、当時付き合っている女の子がいた。
その子は卒業して学校にいなかったが、束縛が激しかった。
その子は俺に命じた。女の子との会話を禁止と。
今では絶対に従わない俺だが、当時は悲しませたくないのか、素直に応じることにした。
哀れである。
そのことがきっかけで、天使との貴重な時間に話すことができなくなったわけだ。
今まで毎日のように話していた人間が急にそっぽを向いたように話さなくなる。
なにかいけないことをしてしまったかと、普通の人間は思うだろう。
きっと天使にも同じことを思わせた。
また、素直に応じたが、本来は嫌である。
俺は副委員長になってまで天使との接触を図った。
単純に天使に興味があったからである。
なので、心はまだ卒業をしていった彼女にある。
だから、束縛に応じた。
だが、それが何になる。何で知る。話さなかったらいいことあるのか、ましてや向こうはどうなのか。
馬鹿げている。
俺は束縛が嫌だ。
そして、天使のことが興味を持っていることに対して卒業した彼女に失礼なことをしていると思い、別れることを選んだ。
天使との関係
天使に話さなかった理由を素直に話した。
すると、素直なんだね。でも話していいの?彼女心配するんじゃない?
と、優しく返してくれた。
心配はいらない、だって別れたから。なんてここでは言わなかった。
でも、話さなくなった理由がわかり、それが解消されたことで天使は笑顔だった。
冬休み、天使は北海道へ戻ってしまった、
天使は携帯がない、よってメールのやり取りはできない。
なので、天使がまだ学校にいるうちに住所を聞いておいた。
そこで天使に手紙を送ることにしたんだ。
手紙は元々好きで、携帯を持たせてもらえない時代の時は手紙のやり取りをしたものだ。相手が読みやすいようにきちんと字を綺麗に、読みやすいように適度に漢字をいれ、思いを形にして送った。
すると、天使から返信がきた。
相手は北海道だ。返信が来たのはたしか1週間はかかったと思う。
それでも返信が来たことは嬉かった。
便箋一つにしてもどんな気持ちで選んだんだろうとか、北海道の空気を含んでいるのかなとか、ましてや直筆である、嬉しいに決まっている。
内容は些細なものだ。
「元気にしてる? こっちはこんなことして過ごしてるよ。たーきーは相変わらず部活なの? 怪我には気をつけてね。北海道から帰る時お土産持っていくね。」
こんな感じの内容だったと思う。
学校が始まった際、六花亭のお菓子を買ってきてくれた。
母はそれをみてあら、珍しいお菓子だね。北海道だねと反応し、Google検索とかをしたことがない当時の自分にとっては唯一情報網だ。
たしか、六花亭のバターサンドとストロベリーチョコだったと思う、気になった人は是非食べてみてほしい。
進路
時は流れ、高校生終盤
進路も着々と決まり始める頃、天使は県外の大学に進み、看護師の道を歩み始めた。
それがいい、それが似合っている。
誰にでも優しい、そしてしっかり者で芯がある。お似合いの職業だ。
俺はというと何を思ったのか、理容師(床屋さん)の道を歩んだ。
なぜ美容師にしなかったんだろうと思うが、カミソリが扱えるのが理容師である。
あまり変わらない職業でプラスメリットがあるならそちらがいいと思って選択をした。
だが、俺の場合はあまり続かなかった。
多分、仕事というもの自体あまり長続きするようなタイプではなかったんだろう。
天使は天使のままに
俺は天使に告白することができなかった。
興味から恋になっていった実感はあった。
けれど、天使の聖域か、告白をしてはならないような気がした。
それは紛れも無い事実で、今の関係が一番美しいとも思った。
不思議なことである。
好きになったらその思いを伝えるのが筋である。
けれど、今の形が美しいと思ったのはこの時が最初で今尚そう思っている。
ハーバリウムのようにその時の俺の恋愛は保存された。
それが通常の恋愛とは形が違うかもしれないが、この“時”で保存したものが一番美しいのだ。
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