腹が減った。
凄まじく腹が減った。
僕は一日一食だ。
仕事の時は飲み物とたばこだけで凌げる。
けれど休日はそうでもないようだ。
買い置きの非常食はない。
お菓子は基本摂取することはないのでもちろんない。
コンビニに行こうか…しかし行って帰ってきて食べて片付けて…
多分これだけで1時間を奪われてしまう。
貴重な休日に1時間を奪われてしまっては困る。
発見!
キッチンにわかめスープがあったことを発見する。
こいつはいい。味噌汁はご飯が欲しくなるがこれならライトに楽しめる。
その名の通りスープ感覚である。
湯を沸かす
この時間は実に暇である。
ケトルで湯を沸かすので多少時間を要する。
僕は大人しくキッチンで待つことができずまたキッチンを物色する。
その時である
見つけてはならないものを見つけた
激辛ペヤングである。
僕は辛い物が苦手だ。
では、何故そんな危険物がこの家にあるかというと…
彼女に食わせて火を噴かせてやろうと目論んだからだ。
彼女はなかなかの辛い物好きだ。
ラーメン屋に行けば担々麺とかいう危険物を口に入れることを好む。
辛い=美味いに変換されているおかしな人種だ。
辛い=痛みであることを学んでいただきたくこれを買ったのだが
困ったことに空腹の僕が見つけてしまうことに…
お湯が沸いた
僕は猫舌なのでとりあえず熱々のお湯は冷めてもらわないと困るので先にわかめスープにお湯を注いだ。
そして自分の意志とは別にもう一人の自分が体を操ったのだろう…
まさかペヤングに手を伸ばすなんて…
あぁぁぁぁ開けてしまった!
この顔を覗かせている激辛ソースがこいつの元凶である。
こいつさえかけなければ全ては問題ない。普通のペヤングである。
ふっ、お湯を注がれたぐらいでは造作もない。
だが、頼む。もう一人の自分よ、ソースだけはやめてくれ。
冷蔵庫にブルドックソースがあったと思うから…
おおおぁぁぁぁっぁぁああ!!
なに垂らしてやがる!!
これじゃもう危険物だ!!
食ったらヤバイ! 辛い物が苦手なんだぞ!!
くっそぉぉぉっ!!
均一に混ぜやがってぇぇっ!!
これじゃ辛さが均等配分されてるじゃねぇかぁぁっ!!
テーブルに持ってきた
…こ、怖い…こいつの辛さは知っている。
昔ゲーセンで取ったんだ。
辛い物は苦手だからネタでちょっとだけやったんだ。
その時何故か一発で取れちまった。
悪魔が微笑んだのだろうか。こんな簡単に取れるわけがない。
ご丁寧にティッシュBOXまで入っている仕様だった。
味は美味かったが唇が痛むほどの辛さ、若干おなかを壊しかけたのを覚えている。
こ、こんなもんか…このぐらいのペースでちょっとずつ食えば辛くはないだろう…
うっ…っごほぉごほぉ!! っぇふっ!
っくぉ、結局辛い!!
この美味さに釣られて口に運ぶが、辛さのあまりむせかける。
凄まじい…美味い話には罠があるというのに近いというか。
ハニートラップに近いというか。
そんな社会の厳しさを感じさせる人生の先輩のようなペヤングパイセン
容赦ない…
かくなる上は
この辛さは完食しきったとしても後遺症を残すことになる。
既に唇が軽く痛むのだ。
こちらにも武器がある。
冷蔵庫を勢いよく開け、パイセンにぶっかけた
どうっすかぁパイセン!
こんなにぶっかけてやりぃましたよぉぉ!!
こいつを伸ばして、ぐちゃぐちゃにしてやるぅぅぅぅ!!
へぇっへっへっへ!!
もうパイセンなんか怖くねぇ、こいつでしまいだぁ!!
その後
あの厳しかったパイセンはマイルドになり
僕はおもむろに食ってやった。
でもどこか刺激を残してくれる、そんなところがパイセンらしかった…
ごっぞさん!!